自然共生社会の実現に向けて

ポリシー&マネジメント

大成建設グループは、グループ行動指針に『環境の保全と創造への取り組み』を掲げ、環境問題の重要性を認識し、事業活動を通じて環境の保全と創造に積極的に取り組むことにより、自然と人間との共存を目指すことを明記しています。また、2021年に2050年環境目標に即した内容でエコ・ファーストの約束を更新しました。
大成建設は、2050年環境目標「TAISEI Green Target 2050」に、2050年目標として「自然資本への影響の最小化」を掲げています。この達成に向け、当社独自の生物多様性評価ツールである「コンシェルジュ」シリーズなどを活用して「生物多様性に配慮した提案を年35件以上」行うことを単年度の環境目標KPIとして設定し、その進捗を確認しながら施工による環境へのインパクトを抑制する取り組みを推進しています。
すべての事業活動において生物多様性に配慮することを打ち出した独自の生物多様性ガイドラインを制定しています。施工の計画段階でリスクを抽出し、設計部門、建築・土木の施工部門、技術センターなど社内の関係部署が協働して当社グループの保有する様々な技術を用いて地域の生物多様性に及ぼす影響を最小限に抑える緑地整備工事だけでなく、豊かな森を再現し自然と共生する取り組み等の設計、提案、技術開発等に努めています。
生物多様性の保全と創出に関する企業姿勢を明確にするために「日本経団連生物多様性宣言」に賛同し、「大成建設生物多様性宣言」を制定しています。2020年からは「経団連生物多様性宣言・行動指針(改定版)」に賛同しています。

リスクと機会

建設工事では、常に自然を含む周辺環境に大きな影響を与える懸念があります。
計画段階では環境関係法令違反等を含むリスクや、付加価値を創出する機会を抽出し、設計・施工段階から竣工後の運営・管理支援に至るまで、生物多様性への配慮と豊かな環境づくりのためのソリューションをお客様に提供しています。
自然資本の価値を適正に評価し、インフラ整備や建築物の計画に活かし、建設工事による影響を極力低減することで自然共生社会の実現に貢献していきます。

体制と仕組み

環境マネジメントシステム(EMS)・ガイドライン

大成建設は、国際規格ISO14001に基づいた環境マネジメントシステム(以下 EMS)を全社で運用しています。社長を委員長とする「環境委員会」を設置し、環境経営上重要な環境方針や環境目標、中長期目標、外部評価につながる環境に係る取り組みについて審議・決定を行っています。
また、生物多様性への取り組みは、「大成建設生物多様性宣言」で方向性を示した「生物多様性保全ガイドライン(2021年4月改訂)」に基づいて行っており、EMSに定める環境目標に示す、生物多様性保全に関する目標達成に活用しています。
生物多様性ガイドラインは、「全社的な取り組み」「計画・設計における取り組み」「調達・施工における取り組み」と、大きく3つのアクションからなる行動指針となっており、生物多様性関連技術提案と展開を通じた、野生生物の保護を含むガイドラインに沿った施工による環境影響の抑制を実施しています。
また従業員に対する定期的な環境教育や環境保全に関する社会貢献活動も実施しています。

生物多様性に配慮した調査・計画・施工・モニタリング

大成建設は、工事を計画する段階で生物多様性に関するリスクを抽出し、施工から竣工にいたるまでフォローする仕組みを導入しています。生態系への配慮が重視される案件には、当社独自の環境計画技術であるエコロジカルプランニングを活用し、調査・分析に基づいた自然共生に貢献する計画を、お客様にご提案し、適切な自然環境の保全・再生に取り組んでいます。エコロジカルプランニングは生物多様性条約の生物多様性行動計画(BAP)に相当するもので、当社の保有する様々な技術を用いて計画地に加えて周辺の環境も調査・分析し、地域特性を踏まえた計画を立案、施工することで良質な社会資本の整備に努めています。竣工後にはモニタリングを実施し、その結果をフィードバックすることで技術の深化を図っています。
また当社では独自の生物多様性の評価・計画ツールとして「コンシェルジュ」シリーズを開発し、誰でも容易に計画地の環境を把握・共有することができ、自然環境を適切に保全・創出することが可能となりました。モニタリングや予測評価を実施しています。2020年には「いきものコンシェルジュ®」「森コンシェルジュ®」に続くコンシェルジュシリーズ第3弾として新たに「水辺コンシェルジュ®」を開発しました。希少動植物の保全が求められるプロジェクトに展開することで自然共生社会の実現に貢献していきます。

Award

「富士山南陵工業団地」の自然への取り組みが、
土木学会賞環境賞及びエンジニアリング功労者賞を受賞

大成建設は、富士山南麓の富士宮市で「緑と人と生産が融合したものづくりの拠点」をテーマに「富士山南陵工業団地(Eco-Factory Mt.Fuji)」開発事業を実施しています。
産官学民が連携する持続的な森づくり活動「富士山南陵の森FSPJ」スキームを構築し、竣工後10年以上に渡り森づくり活動を支援してきました。中長期視点での森づくり手法や、森をテーマとしたビジネスモデルは、経済活動と自然との共生を両立させる先駆的取り組みであり、これからの自然共生社会実現に向けたツールとして活用展開していきたいと考えています。この取り組みが評価され、令和2年度土木学会賞環境賞(Ⅱグループ)及び令和2年度エンジニアリング功労者賞(環境貢献)を受賞しました。

生物多様性保全・創出活動事例

札幌ドーム(北海道札幌市)
~継続的なモニタリング調査の実施~

2001年に完成した札幌ドームの建設工事において、生物多様性保全を重視した外構を計画しました。これは、地域本来の生態系を保存する空間を計画段階から設計する大成建設の環境計画技術エコロジカルプランニングが活用されています。実際に多様な生物が生息できる環境となっていることを検証するため、鳥、チョウ、トンボなどの種数を指標にしたモニタリング調査を、1997年の計画段階から、2001年の竣工時、また竣工後3年、10年、そして現在に至る長期にわたり実施・実証してきました。
そこで蓄えられた知見や具体的な成果は、生物多様性コミュニケーションツール「いきものコンシェルジュ」などの開発に活用されているほか、㈱札幌ドーム様より行われている様々な環境啓発活動を通じて、自然資源の保存と持続的利用に貢献しています。

ESR 尼崎ディストリビューションセンター(兵庫県尼崎市)
~⽣物多様性保全・創出活動を通じた施設価値向上~

自然環境に配慮した施設であることを証明する環境認証を取得することは、施設の価値を向上させ、環境配慮型企業である証として、お客様の企業イメージの向上に繋がります。大成建設は、施設の計画、設計から施工まで一貫して行うことのできる総合建設業の強みを活かし、環境認証の取得も含め、お客様の生物多様性保全・創出などの環境活動を支援しています。
大阪湾臨海部に位置する物流施設「ESR尼崎ディストリビューションセンター(発注者:ESR(株))」では、施設の計画・設計段階において、物流施設の機能を損なうことなく生物多様性を高められるよう外構緑地の計画・設計・施工を実施することで、「いきもの共生事業所(ABINC)認証(物流施設版)」の取得をサポートしました。

物流施設 ESR尼崎ディストリビューションセンター(発注者:ESR(株))
エコ・グローブくれ ビオトープ(広島県呉市)

一般廃棄物最終処分場「エコグローブくれ」は2015年に完成、運用を開始しました。
最終処分場建設に伴い消失する水辺環境を再現し、希少種を含む多様な動植物が生息するビオトープを創出しています。

提案時の生物多様性への配慮の実施(リスク評価)

開発により生息環境に影響を受ける水辺の希少動植物を保全・代償するための当社独自の計画ツール「水辺コンシェルジュ」

土木工事では、自然環境と接する場合が多く、希少動植物の保全やその影響回避を含む様々な生物多様性への配慮の取り組みを、建築工事では、工場敷地や再開発案件における緑地計画において、健全で良質な生態環境創出の取り組みを行っています。「いきものコンシェルジュ®」や「森コンシェルジュ®」「水辺コンシェルジュ®」等の当社独自の生物多様性評価ツールを駆使して、積極的な提案を行っています。

*コンシェルジュシリーズ

  • 「いきものコンシェルジュ®」:計画地に誘致可能な動物を予測評価する当社独自のツール
  • 「森コンシェルジュ®」:計画地の環境に適した植物選定を可能とした当社独自のツール
  • 「水辺コンシェルジュ®」:生息環境に影響を受ける水辺の希少動植物を保全・代償するための当社独自の計画ツール

生物多様性関連のイニシアチブの支持・ステークホルダーとの協働

  • 東京都環境局では、平成15年度から、都内にある50地域の「保全地域」のうち、いくつかの地域で企業・NPOや企業、行政等と連携した自然環境保全活動を実施し、これらの地域を企業の社会貢献活動の場として活用しています。当社はこの取り組みに賛同し、「七国山緑地保全地域」の緑地保全活動(東京グリーンシップ・アクション*)に10年以上にわたり参加しています。

    *東京グリーンシップ・アクション東京都主催の里山保全活動

  • 一般社団法人 企業と生物多様性イニシアチブ (JBIB*)は、2008年に設立した生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まりです。当社はJBIBのネットワーク会員企業として、 「いきもの共生事業所®推進ガイドライン」や「いきもの共生事業所推進協議会(ABINC)」の情報共有や会員企業とのコミュニケーション等を通じて、生物多様性保全に対する取り組みを推進しています。

    *生物多様性の保全を目的として活動する日本の企業団体

  • 生物多様性民間参画パートナーシップに会員企業として参加し、NPO・NGOや研究機関等の国内外の関係組織との連携の下、事業者の生物多様性保全への取り組みを推進しています。また、「大成建設グループサステナビリティ調達ガイドライン」によりサプライチェーンでの生物多様性保全についても推進しています。

大成建設グループの環境ボランティア事例

① やまねの巣箱づくり

当社は2004年から「アニマルパスウェイ(樹上性小動物のための橋)研究会」に参加し、アニマルパスウェイやモニタリングの開発・設置を通じて、やまね等樹上性小動物の生態系保全活動を支援しています。この活動の一環として、当社 グループ社員と家族が参加する「やまねの巣箱づくりボランティア」を毎年実施しています。親子でヤマネについて学びながら巣箱を作り、キープ協会「やまねミュージアム」に寄贈しました。この環境ボランティア活動は、毎年継続に実施しており、これまで2,945個の巣箱を作成しています。

② 大成1トンくらぶ

2010年より『会社と社員の家庭でカーボンオフセットを同時に実現』をテーマとしてスタートした環境貢献活動で、これまで9回実施しています。2012、2015年と支援してきた「釜石地方森林組合」が管理する「鵜住居(うのすまい)地区」の山林で、2017年5月9日に不審火で大規模な山火事が発生、 413haが焼失し、多大な被害が出ました。そこで、2017年から継続して、この釜石の森林の復興のための植林用苗木購入費用を寄付するための募金をテーマに実施しました。山火事被害材はこの活動の社員向けのノベルティに使われ、当社が施工で関わった釜石鵜住居復興スタジアムでは木製座席、公衆トイレ、ベンチ及び日よけのためのルーバーにも採用されました。

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